なぜ季節の香りを設えようと思ったのか
- 3 日前
- 読了時間: 2分
啓蟄を迎え、信州にもようやく春の気配が感じられるようになってきました。
まだ朝晩の空気には冷たさが残っていますが、日差しはやわらかく、
土の匂いが少しずつ変わっていくのを感じます。道ばたの草の色が淡くほどけ、
ふと足元を見ると、蕗のとうが顔をのぞかせていたり。
気づけば、クリスマスローズや梅の花も静かに咲き始めています。

冬のあいだ静かに眠っていたものたちが、ゆっくりと動き出すころ。
虫たちが土の中から目を覚ますとされる「啓蟄」という節気は、
まさにそんな春の扉が開く瞬間を表しているように思います。
信州で暮らしていると、季節の移ろいはとても鮮やかで、しかもとても繊細です。
昨日と今日で、空の色がほんの少し変わる。
風の温度が、ほんのわずかにやわらぐ。
山の色が、気づかないほどゆっくりと春へと近づいていく。
そんな小さな変化が、日ごとに積み重なっていくのを感じるたびに、
季節というものはこんなにも豊かなものだったのかと、何度も心を動かされてきました。
kotoのキャンドルを作ろうと思ったのも、まさにその感動からでした。
信州で感じるこの繊細な季節の移ろい。
朝の空気、午後の光、夕方の風。
その一瞬ごとに変わっていく空気の表情を、
香りとあかりでそっとすくい取ることができたら――
そんな想いから、二十四節気それぞれの季節に寄り添う香りを、一つひとつ仕立てていきました。
キャンドルの炎は、空気の流れや湿度によって、揺れ方や色がほんの少し変わります。
香りもまた、その日の気温や、灯す人の気持ちによって、ふと違った表情を見せてくれます。
だからこそ、灯りと香りは、季節の空気を感じるための小さな窓のような存在なのかもしれません。
忙しい日々のなかで、ふと立ち止まり、灯りを見つめる時間。
ゆっくりと深呼吸をするように、香りを感じる時間。
そのひとときが、季節の移ろいを思い出す小さなきっかけになればうれしく思います。
春のはじまりのやわらかな空気を感じながら、
今日もまた、信州の季節をそっと灯しています。















